飛騨高山の民藝品店・私設図書館「やわい屋」主人にして、高山市内の日下部民藝館の学芸員?(正式な肩書きはわからないけれど)の朝倉圭一さんとお会いしたのは、2022年の夏だった。日下部民藝館で日下部暢子氏・日下部勝氏にインタビューでうかがった折に、朝倉さんが側にひかえていた。若いのに該博な知識と的確な答えをしていただき、強く印象に残った。翌月には、「やわい屋」(これが国府町という絶妙の位置にある古民家のお店)にもうかがい、いろんな話をした。
その朝倉さんが、『わからないままの民藝』という本を出版され、既に重版を重ねている。
高山の民藝運動、民藝運動の現代への応用を考えるならば、ぜひとも読んでいただきたい。本の帯には、次のように書かれている。
「わからないまま」は、「わかる」や、「わかった」よりもずっと信頼できる。
この言葉は、私の専門の公共政策で「わかったような言葉のはんらん」にうんざりしている自分には、刺さった。
最近、民藝運動の現代的解釈を行った本が出始めている。著者も、民藝について考えるのではなく、「民藝で」考えたと伝えていただいたが、SNSだらけの現代を考える上で、一つの指針を示す良書だと思う。