記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

わからないままの民藝

 飛騨高山の民藝品店・私設図書館「やわい屋」主人にして、高山市内の日下部民藝館の学芸員?(正式な肩書きはわからないけれど)の朝倉圭一さんとお会いしたのは、2022年の夏だった。日下部民藝館で日下部暢子氏・日下部勝氏にインタビューでうかがった折に、朝倉さんが側にひかえていた。若いのに該博な知識と的確な答えをしていただき、強く印象に残った。翌月には、「やわい屋」(これが国府町という絶妙の位置にある古民家のお店)にもうかがい、いろんな話をした。

 その朝倉さんが、『わからないままの民藝』という本を出版され、既に重版を重ねている。

https://www.amazon.co.jp/%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%81%AE%E6%B0%91%E8%97%9D-%E6%9C%9D%E5%80%89-%E5%9C%AD%E4%B8%80/dp/4867930334/ref=sr_1_1?adgrpid=158737970050&dib=eyJ2IjoiMSJ9.lir9tsDgM4oRW2-q3Go-1QbiNv28UkN-R4OnkzUJpK_GjHj071QN20LucGBJIEps.Ko6QblChDKIi0tJHXTcUYtpBMBZCgbsFXV7K0myWhtE&dib_tag=se&gad_source=1&hvadid=702501997361&hvdev=c&hvlocphy=1009307&hvnetw=g&hvqmt=e&hvrand=6403103737124444547&hvtargid=kwd-2505899586392&hydadcr=4072_13378638&jp-ad-ap=0&keywords=%E3%82%8F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%BE%E3%81%BE%E3%81%AE%E6%B0%91%E8%97%9D&qid=1723209575&sr=8-1

 高山の民藝運動民藝運動の現代への応用を考えるならば、ぜひとも読んでいただきたい。本の帯には、次のように書かれている。

「わからないまま」は、「わかる」や、「わかった」よりもずっと信頼できる。

 この言葉は、私の専門の公共政策で「わかったような言葉のはんらん」にうんざりしている自分には、刺さった。

 最近、民藝運動の現代的解釈を行った本が出始めている。著者も、民藝について考えるのではなく、「民藝で」考えたと伝えていただいたが、SNSだらけの現代を考える上で、一つの指針を示す良書だと思う。