記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

多摩学への試み-多摩地域研究

このたび、『多摩学への試み-多摩地域研究』が多摩大出版会・ぶんしん出版より発刊されました。 アマゾンは↓ https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%9A%E6%91%A9%E5%AD%A6%E3%81%B8%E3%81%AE%E8%A9%A6%E3%81%BF-%E5%A4%9A%E6%91%A9%E5%9C%B0%E5%9F%9F%E7%A0%94%E…

古賀河川図書館の思い出

日本で唯一の河川書誌家、河川文献収集家であった古賀邦雄さんが亡くなった。先週、久留米での通夜に参列したが、この25年ほどの記憶が点景のように私の頭を回っている。 はじめてお会いしたのは、1999年か1998年後半だったと思う。水の文化センタ…

オランダ、ベルギー

オランダ、ベルギーに1週間ほど滞在してきました。 オランダは20年ほど前に水管理の調査で訪れていますが、今回は観光モード。といっても、合理的な国柄だけあっ ブリュージュ マルクト広場鐘楼より眺望 遠方が現在の港湾部で風力発電群 レンブラント「夜…

奈義町、吹屋のベンガラ色の町並み-岡山県 雨の三日間

三日間にわたり、岡山県内を視察。最初は、奈義町の合計特殊出生率が周囲に比べ異常とも言えるほど高いため、その取材のためにと、役場の情報企画課副参事の小坂氏より、話をうかがい、ある程度了解できた。 折角なので、奈義から30分程行くと、鳥取県智頭…

ディープな燕三条or三条燕取材

先週9/4-8、多摩大学イノベーションエコシステム研究会の野坂先生、新西先生と燕三条の事業者を取材。5泊6日で11社はなかなかのボリュームな上に、お会いした社長・関係者が「すべて」考え方が異なっており、キャラが立っていらっしゃる。 訪問先はこち…

社会、文化、歴史からイノベーションを考える

7/6は、イノベーションエコシステム研究会の仲間と共に、燕三条の地場産業振興センターでインタビュー。 私だけ翌日も残り、大河津分水、横田切れ跡、分水商店街、弥彦山・神社、燕市図書館、三条市図書館と巡り、最後に燕市産業史料館主任学芸員の齋藤優…

多摩大学イノベーション・エコシステム研究会

多摩大学の「特定研究グループ」に、イノベーション・エコシステム研究会のHPがリンクされました。 既に3名の記事がアップされていますが、さらに報告が増えていきます。 多摩大学 特定研究グループ : 研究 || 多摩大学

ちょっと変わったNPOについてのリカレント教育テキスト つくりました

公益社団法人ネットワーク多摩がによる、多摩についてのリカレント教育テキストシリーズ「多摩・島しょ百科全書」(電子テキスト)が出来上がりました。 今回、そのシリーズの中で『多摩におけるNPO の課題と展望 ーNPO のこれからを考えるー』と題し、一風…

三重県菰野町で陶器産業と生活文化のイノベーションを感じる

昨日、三重県菰野町に行ってきた。名古屋から車で40分程度。 デザイナーの森屋律子さんにお会いし、菰野デザイン研究所の活動をお聞きするため。ところがおうかがいした場所は、本日オープンするという古民家を活かした「かもしかビレッジ」。そして、お引…

多摩大イノベーション・エコシステム研究会 大田区取材

大田区というと東京都の工場数一位で、「ものづくり集積」のイメージが色濃く残っている。しかし、現在、大田区産業振興部は羽田イノベーションシティに出先機関を設け、次の段階に導こうとしている。 職人の技術に誇りをもち、コミュニティで水平分業の強み…

忘れていたエッセイ 平六渇水と早明浦ダム

研究者にとって、冬休みは執筆に専念できる貴重な時間。ちょっと平六渇水について調べようとgoogle検索をすると、2番目にこんな記事が出てきた。 damnet.or.jp ダム便覧2021の早明浦ダムに関する内容で、2006年2月の記述となっている。 著者は対馬光彦…

古賀邦雄著『ダム建設と地域住民補償-文献にみる水没者との交渉誌』

おもしろい本が送られてきたので紹介したい。古賀邦雄著『ダム建設と地域住民補償-文献にみる水没者との交渉誌』(水曜社、2021)である。 ■一見やさしいダムの文化誌 この著書はダム建設について書かれている。というと、土木書、あるいはダムについて疑問…

『東京 都市化と水制度の解釈学-都市と水道における開発・技術・アイディアの政治』発行

多くの大学には独自の出版組織がある。大学研究者が売れ行きに左右されずに、研究成果を世に問えるためのしくみだ。法政大学出版会、中央大学出版部、名古屋大学出版会などあるが、多摩大学にも「多摩大学出版会」がある。本格的研究書を発行し始めたのが202…

継承責任

私が水について関心をもち始めた1998年、日本の水政策は縦割りは頑丈に見えた。そこに、社会科学、特に公共政策、都市・地域社会学の分野から総合的に串を刺してみようと思い2003年からある企業で「水文化」のコンセプトを構築し発信し始めた。幸い、多方面…

ステイホームの予期せぬ影響

久しぶりに書く気になった。 何しろ、昨年10月には道につまずいて指を骨折するは、ギプスで身体を固定するは、その結果、血圧や血糖値が上がるはで、とんだ目にあった。それも、転んだ自分が悪いのだが、考えて見れば、いつもならつまずいても支えられる自…

オンデマンドでこそ教育コモンズの価値があからさまになる

zoomでの授業、ゼミも2ヶ月が経った。オンライン授業とかリモート授業など称しているが、この授業の本質は、学生が授業を受ける環境を大学が制限しないこと、つまり、学生はどこでもいつでも受けることができることだということが、よくわかる。中には友達…

9月入学論を話し流す人々の政治的意図は?ピンチはチャンス論の浅さ

■ズームでの授業移行完了 4月は私のゼミ学生とzoomでやりとりし、単なる使い方ではなく、教育の質について貴重な示唆を得た。しょせんzoomは道具である。この道具でわかったことは、意外に疲れること。教員も疲れるが学生も疲れる。それに当然のこ…

オンラインゼミ開始

新型コロナのため、大学の授業開始が5月7日となった。と言っても、学生のゼミ活動をそれまで放っておくのはおもしろくない。そこで、一昨日からGoogle Meetを使ってオンラインゼミを始めた。 ただ話をする分には問題ないが、ディスカッションとなると全体…

岡山の小規模高齢化集落 三事例 溜池と水路と若者

今回は溜池水利を軸に、三つの小規模高齢化集落をレポート。 撮影にドローンも登場。 www.mizu.gr.jp

イタリア周遊 ヴェネツィア洪水

2月10日-17日、イタリアを旅してきた。ミラノ、フィレンツェ、ヴェネツィア、ピサ、ナポリ、ソレント、アマルフィ、ポンペイ、ローマと有名観光地ばかり。 印象的だったのはヴェネツィア。ヴェネツィアは昨年2019年11月12日に史上2番目の水位…

小規模高齢化集落の取材 津山市、美作市周辺3ヶ所

小規模高齢化集落の水利秩序とコミュニティ形成の現場を見たくなり、ミツカンの取材として三日間、三集落を回ってきた。みんなの集落研究所の阿部典子氏にお世話いただいた。 行くとわかるが、山は高くないが起伏があり、川の支流の両側に水田が奥深くまで拡…

十勝の開拓者群像

『水の文化』連載の「魅力づくりの教え」、第14回です。今回の舞台は十勝です。 http://www.mizu.gr.jp/kikanshi/no63/11.html www.mizu.gr.jp

ゼミ始動

私のゼミは地域政策を専門にしているが、来年4月から所属する1年生12名が集まった。みんな問題意識をもっており、現2、3年生による今年のグループテーマ「人口減少リスクに対応する観光・交通・流通対策-東日本大震災事例より」の発表リハーサルに対…

水辺をいかした観光まちづくり in 地方 もっとガバナンスを

この3年「かわまちづくり」の手伝いをしているが、『リバーフロント』に「水辺をいかした観光まちづくり」を寄稿した。 集積効果を利用できる都市のかわまちづくりは、いろいろと知恵が集まるのだが、そうはいかない地方のかわまちづくりでは、難しい。おも…

治水政策転換の年

10月19日-20日、台風19号の被害も甚大だったが、回復が遅い。私は大田区に住んでいるが、田園調布の丸子川(旧六郷用水)と多摩川の間や、武蔵小杉、二子玉川は内水氾濫、越水と被害に遭った。どこも歩けば水に弱いことがすぐにわかる場所。住む側…

水文化から都市を読む 八王子いちょう塾

10月5日(土)、12日(土)の2回で、八王子市の市民講座いちょう塾で「水文化から都市を読む-紛争、治水、水不足が都市を変える-」という話をします。 https://web.my-class.jp/icho/asp-webapp/web/WWebKozaShosaiNyuryoku.do?kensakuWord=%88%EA%9…

食の王国「十勝」の開拓者をさぐる

昨日まで三日間、帯広を中心に十勝を取材してきた。開拓の歴史と現在について知るためだ。 北海道開拓、満州開拓、台湾開拓・・・開拓という言葉は知られているし、一般には荒れ地を整備し農地にし営農までの制度をつくることを言う。しかし、具体的に何をす…

三陸-人口減少におけるサスティナブルな開発 かつて見た空間はどう変わるか

ゼミ学生と三陸を回ってきた。8/5-7。釜石に2泊しながらも、陸前高田、大船渡、宮古、大槌町、を回り、私一人では何度目かの石巻も見てきた。 三陸はかさ上げも終わり、その上には大規模商業施設や区割りされた新しい戸建て住宅が並んでいる。サードブレイ…

魅力づくり 日南市油津と飫肥

『水の文化』連載「魅力づくりの教え」、今回は日南市油津と飫肥の地域活性化事例を紹介した。経産省では商店街再生事例としてオーバーに扱っているが、現場に立つと違う意味で-すなわちスマートシュリンクの一例として価値があることがよくわかった。そし…

水開発文化から都市を読む-南多摩の貯水池計画

昨日は多摩大の社会人向け講座で「水開発文化から都市を読む-大東京水道と郊外化-」というタイトルで1時間ほど話した。昨年、軽井沢夏期大学で話したものの短縮版だ。人口が増え続ける明治東京からの水道整備過程の中で、郊外化が1920年頃から始まり…