記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

古賀河川図書館の思い出

 日本で唯一の河川書誌家、河川文献収集家であった古賀邦雄さんが亡くなった。先週、久留米での通夜に参列したが、この25年ほどの記憶が点景のように私の頭を回っている。

 はじめてお会いしたのは、1999年か1998年後半だったと思う。水の文化センター立ち上げの中心メンバーに古賀さんが入っていたので、当時日田まで会いに行ったのが最初だろう。ちょっと記憶が薄くなっている。

 水機構でかつて補償担当の仕事も長く携わっていたこともあり、その知識は深かった。夜にお電話して、いろんな質問をして長電話につきあっていただいたこともしょっちゅうだった。フィールドワークにもしょっちゅうおつきあいいただき、山田堰や城原川、柳川などを歩いた頃を、思い出す。

 古賀さんは筑後川の文化、ダムの文化、補償の精神、河川の碑の調査など、筑後川をホームグラウンドにしながら、全国の河川文化を見ていらした。そして退職後は、私費で古賀河川図書館を筑紫野につくり、その後、久留米のご自宅につくり資料を若き研究者に提供していた。その蔵書もいまは久留米大学古賀河川文庫に収められており、河川資料の一センターとなっている。

 お世話になったこの記憶を、ここにとどめておきたいと思う。享年81歳。ご冥福をお祈りします。