記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

岩の教会

 コペンハーゲン、ベルゲン、ウルヴィック、ストックホルムヘルシンキと北欧主要都市を旅してきた。北欧の文化的景観収集を目的に楽しんできたのだが、帰国後2日目の現在、頭から離れないのがヘルシンキの「テンペリアウキオ教会(テンプル広場教会)」、通称「岩の教会」である。

 ヘルシンキはよく森の都市と形容されるが、正確には森と岩の都市だ。土が浅くすぐに花崗岩の岩盤となる。まちの公園や住宅地にも結構石が露頭している。広場に残った岩山上部をくり抜き、そこを教会にしたのが1969年に竣工した岩の教会だ。建築設計はティモ・スオマライネン、トゥオモ・スオマライネン兄弟。

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 天井からは光が取り入れられ、木と岩と人間と祭壇が共存している。圧倒的な質感の花崗岩の壁は、触ると水が沁みだしている所もある。

 フィンランドの自然と人間が共存する神聖な場としてつくられた建築。素晴らしい建築からは、人々の文化と歴史を読みとることができる。