記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

西東京市産業振興マスタープラン

 昨年度1年間かけて委員のみなさんと作成した「西東京市産業振興マスタープラン後期編」ができあがり、私にも送られてきた。良い計画になっていると思う。

 このような委員会にはいくつも参加してきたが、つくった計画がきちんと実施されるかどうかいつも心配になる。かつて映画監督の小津安二郎が「脚本を書いている時が一番楽しい。撮影の時になるとガクッとくる」と発言していたのを記憶しているが、政策も似たようなもの。政策研究の現場では、未だに計画と評価ばかり重視され、両者を結ぶ「実施研究」が遅れているし、行政職員も計画ができたら終わりと思っている自治体は多い。

 西東京市の場合は違うと思うが、何せ世の中の流れは速い。半年程度で計画が色あせて見えることも珍しくなくなっている。

 1年単位でのPDCAサイクルという見方をわれわれは捨てる時期に来ているのではないか。常に変化に対応し、様々なプロジェクトを実験的に実施して手応えの良いものを育てる組織で、長期的な計画を微調整込みで運用していく方が理にかなっている。

 実は人口が10万人を超えるような大きな自治体より、5万人位の小さな自治体の方が開き直っているためか動きが速いし、コミットする職員も多い印象がある。

 そんな中で、私のような外部の有識者は、外部の事例を紹介したり、身内では言いづらいアドバイスをしたり、政策的合理性ある枠組みへのレールを敷くことが仕事になる。でも、終わったら自治体と地元関係者にバトンを渡さねばならない。

 間違いなく言えることは、これまでと同じ進め方をしている自治体は淘汰されるということだ。有識者と言われる人は、忖度せずに、もっと大きな声で発言しないと貢献できなくなるだろう。私の場合は、言い過ぎかもしれないけれど。

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