記憶の旅 中庭光彦の研究室

都市や地域の文化について

治水政策転換の年

 10月19日-20日、台風19号の被害も甚大だったが、回復が遅い。私は大田区に住んでいるが、田園調布の丸子川(旧六郷用水)と多摩川の間や、武蔵小杉、二子玉川内水氾濫、越水と被害に遭った。どこも歩けば水に弱いことがすぐにわかる場所。住む側もそのような場所には住まないように自衛してください、と言いたいところだがことは簡単ではない。

 ニュースを見ていると「住んで何十年になるが、こんなことは初めて」と言う方が多い。その通りで30年程度では溢れていなくても、50年-100年単位で見れば日本の多くの川は溢れている。私も今回は昭和49年の多摩川水害を思い出したし、千曲川は洪水常襲地域で、今回は1742年の「戌の満水」に次ぐ被害だという。これまでの歴史を知っていれば50年に1回ぐらいの水害には備えられる。

 しかし、時間あたり雨量が50ミリを軽く超えるような台風が二つ以上来襲するような年がこれからも続くかも・・・と考えると話は違ってくる。海水温度の上昇、地球温暖化の影響と、これまでの水害想定の構造が変わってくる。それに生活や流通の回復(レジリエンス)が悪すぎる。

 ただ、堤防を強靱化すればよい、とか、地域の共助で何とかしてもらいたい、だけでは済まなくなってくる可能性がある。

 国レベルで温暖化対策と防災対策をパッケージにして、政策リーダーシップをとる必用がある。そう私は考えている。

 後年、2019年は治水政策転換の年と言われるかもしれない。